大切な方の訃報(ふほう)を受け取った際、「通夜と告別式、どちらに参加すべきか?」「それぞれの違いは?」と迷われた経験はありませんか。
現代では働き方やライフスタイルの多様化により、すべての場面に参加することが困難な場合も少なくないため、それぞれの意味や特徴をしっかり理解しておきたいという方も多くなっているようです。
そこで本記事では、告別式の意味や役割、通夜・葬儀との違い、さらに参列マナーや香典の相場について、わかりやすく解説いたします。
突然の訃報に正しく対応できるよう、ぜひご参考ください。
告別式とは? その意義と葬儀との関係

まず、告別式がどのような儀式なのか、その本質的な意味合いと、しばしば混同されがちな葬儀との関係性についてご説明します。
告別式の意義-社会的なお別れの場
告別式は、故人様と生前にご縁のあった方々が、社会的な立場として最後のお別れを告げるための儀式です。宗教的な儀礼を中心とする「葬儀」とは異なり、告別式は特定の宗教宗派を問わず、より多くの方が故人様への感謝や惜別の思いを伝える場としての性格を持ちます。
一般的に、弔辞の奉読や弔電の紹介、そして参列者による献花などが行われ、故人様の冥福を祈り、在りし日を偲びます。
最近では、形式にとらわれず、故人様の好きだった音楽を流したり、思い出の品を飾ったりするなど、より自由な形でお別れをするケースも見られるようになりました。
「葬儀」と「告別式」の関係性
日本の慣習として、人が亡くなると「お通夜」→「葬儀・告別式」→「火葬」という流れで儀式が執り行われるのが一般的です。
ここで重要なのは、「葬儀」と「告別式」それぞれの儀式・式典がもつ意味合いを知っておくことです。
- 葬儀: 故人様の冥福を祈り、次の世界へとお見送りするための宗教的な儀式です。僧侶による読経や引導など、各宗教宗派の作法に則って厳粛に執り行われます。
- 告別式: 宗教的な儀式である葬儀に引き続き、または葬儀と一体化して行われる、社会的なお別れの儀式です。
現代では、多くの場合、葬儀と告別式は連続して同じ式場で行われることから、全体を指して「お葬式」、もしくは「告別式」と呼ぶことも少なくありません。
宗教的な儀礼(葬儀)につづいて、社会的なお別れ(告別式)の時間に移るという形式が一般的です。
告別式・お通夜・葬儀の主な違い

故人様とのお別れの儀式には、告別式のほかにお通夜や葬儀がありますが、それぞれの目的や内容、参列者の範囲には違いがあります。
儀式の種類 | 主な目的と性格 | 一般的な日程・時間帯 | 主な参列者の範囲 |
お通夜 | 親しい方々が、故人様と別れを惜しみながら最後の夜を過ごし、冥福を祈るための時間。 | 葬儀・告別式の前日の夕刻から夜にかけて行われることが多い。 | ご遺族、ご親族、特に親しかったご友人、ご近所の方など、故人様と近しい関係の方々が中心。 |
葬儀 | 宗教的な儀礼に基づき、故人様を浄土に送りだすための儀式。 | お通夜の翌日の日中、告別式に先立って行われる。 | ご遺族、ご親族、故人様と縁の深かった方々。宗教的な儀式であることを理解し、参列を希望する方。 |
告別式 | 社会的なつながりのあった方々が故人様に最後の別れを告げ、感謝の意を表し、冥福を祈るための式典。 | 葬儀に引き続き、または葬儀と一体化して日中に行われる。終了後、出棺・火葬へと進むのが一般的。 | ご遺族、ご親族に加え、ご友人、会社関係者、所属団体の関係者、ご近所の方など、生前故人様と関わりのあったより広範囲の方々。 |
日程について
日本では法律(墓地、埋葬等に関する法律)により、原則として死後24時間を経過しなければ火葬を行うことができません。そのため、亡くなられた翌日にお通夜、翌々日に葬儀・告別式と火葬、という日程が一般的です。
ただし、亡くなられた時間帯や、火葬場の空き状況、ご遺族の希望などにより、日程が変動することもあります。
例えば、夕刻以降に逝去された場合、お通夜を翌々日の夜に、葬儀・告別式をその次の日に行うといったケースも考えられます。
お通夜への参列について
お通夜は本来、近親者や特に親しい間柄の方々が中心となり、静かに故人様を偲ぶ場として営まれる儀式です。
しかしながら、近年ではお仕事の都合などで日中に行われる葬儀・告別式への参列が難しい方が、お通夜に弔問に訪れるケースも増えています。
この傾向は、故人様とのお別れの機会を大切にしたいという思いの表れともいえるでしょう。
告別式(またはお通夜)での香典について

お通夜、葬儀、告別式の違いを理解したところで、次に多くの方が気になるのが香典についてでしょう。
ここでは、香典として包む金額の目安や、お渡しする際のマナーについて解説します。
お香典金額の目安 ― 故人様との関係性を考慮して
お香典の金額は、故人様との関係の深さや、ご自身の年齢・社会的立場などによって変わってきます。
以下に一般的な目安をまとめましたが、あくまで参考とし、ご自身の状況や地域の慣習も考慮して判断しましょう。
故人様との関係 | 香典の目安金額 | 備考 |
ご自身の親 | 5万円~10万円 | ご自身が喪主を務める場合や、葬儀費用を主に負担する場合は、香典は不要とされることもあります。 |
配偶者の親 | 5万円~10万円 | 同上 |
兄弟姉妹 | 3万円~5万円 | |
ご自身の祖父母 | 1万円~3万円 | |
配偶者の祖父母 | 1万円~3万円 | |
おじ・おば | 1万円~2万円 | |
その他の親族 | 5千円~2万円 | 関係の深さによります。 |
友人・知人 | 5千円~1万円 | 特に親しい間柄であれば、これ以上の場合もあります。 |
会社関係者(上司) | 5千円~1万円 | 役職や個人的な関係性も考慮。会社や部署で連名で出す場合は別途規定があることも。 |
会社関係者(同僚) | 3千円~1万円 | 同上 |
会社関係者(部下) | 3千円~1万円 | 同上 |
近隣の方 | 3千円~5千円 | 町内会の規定などがあればそれに従います。 |
お香典の金額に関する注意点
- 「4」「9」を避ける
「死」「苦」を連想させる「4」「9」のつく金額は避けるのが一般的です。 - 新札は避ける
新札は不幸を予期して準備していたような印象を与えるため、避けるのがマナーとされています。手元に新札しかない場合は、一度折り目を付けてから包むとよいでしょう。
香典袋の準備と表書きのマナー
お香典は、不祝儀袋(香典袋)に包んでお渡しします。表書きは宗教・宗派によって異なりますが、一般的な作法は以下の通りです。
- 仏式(多くの宗派): 「御霊前(ごれいぜん)」が広く使われます。ただし、浄土真宗では亡くなられてすぐに仏になると考えるため「御仏前(ごぶつぜん)」を用います。四十九日法要以降は、どの宗派でも「御仏前」となります。
- 神式: 「御玉串料(おたまぐしりょう)」「御榊料(おさかきりょう)」など。
- キリスト教式: 「御花料(おはなりょう)」「献花料(けんかりょう)」など。蓮の花が描かれたものは仏式用なので避けましょう。
宗教・宗派が不明な場合は、「御香典(おこうでん)」が無難とされることもありますが、一般的には仏式であれば「御霊前」で問題ないとされています。
中袋には金額(旧漢字で「金壱萬圓也」などと書くのがより丁寧ですが、算用数字でも可)、住所、氏名を明記します。表書きの下段中央には、自分の氏名をフルネームで書きます。
お渡しする際は、袱紗(ふくさ)に包んで持参し、受付で袱紗から取り出して、相手から見て正面になるようにしてお渡しするのが丁寧な作法です。
お香典は葬儀・告別式と通夜のどちらに持参する?
お香典とは、故人様への供養として霊前にお供えする金品であり、参列する場でお渡しすることが一般的です。しかしながら、お通夜と葬儀・告別式の両方に参列する場合は、お香典をいつお渡しすればよいか迷うかもしれません。
一般的には、お通夜に参列する際にお渡しするのが望ましいとされています。これは、受付の混雑を避ける意味合いや、万が一、葬儀・告別式に急遽参列できなくなった場合でも、弔意を確実にお伝えできるためです。
もちろん、お通夜への持参が難しい場合は、葬儀・告別式の受付でお渡ししても失礼にはあたりません。
またお通夜と葬儀・告別式の両方に参列する場合、お香典はどちらか一方(一般的には通夜)で渡すのがマナーです。両方で渡すと「不幸が重なる」と捉えられかねないため、お通夜で香典を渡した場合、葬儀では記帳のみを行いましょう。
ご葬儀に関するしきたり・習慣は、地域ごとに異なりますので、不安な場合は事前に葬儀社や周囲の方に確認しておくと安心です。
一般的な葬儀・告別式の流れ

葬儀・告別式は、故人様とのお別れのための大切な儀式です。ここでは、仏式を中心とした一般的な葬儀・告別式の流れをご紹介します。
地域や宗派、また式の規模によって内容は異なる場合があります。
- 受付
- 式場に到着したら、まず受付を済ませます。
- お名前を記帳し、用意してきたお香典を受付の方にお渡しします。(袱紗から取り出し、相手に向けて差し出します)
- 返礼品(会葬御礼)を受け取り、式場内へ進み、案内に従って着席します。一般的に、故人様と関係の深い方ほど前方の席になります。早めに到着し、静かに開式を待ちましょう。
- 一同着席・僧侶入場
- 開式時刻が近づくと、参列者は指定された席に着席します。
- 僧侶が入場します。合掌して静かにお迎えするのがマナーです。
- 開式の辞
- 司会者または葬儀社の担当者が開式を告げます。
- 読経(葬儀)
- 僧侶による読経が始まります。これは故人様の冥福を祈り、仏の道へと導くための大切な儀式です。参列者は静かに聴聞します。
- 弔辞・弔電の紹介(告別式)
- 故人様と縁の深かった方による弔辞(お別れの言葉)が述べられます。
- 寄せられた弔電(お悔やみの電報)が紹介されます。この部分は、故人様の人となりや社会的功績を偲ぶ、告別式の要素が強い部分です。
- 焼香(告別式)
- 僧侶の案内に従い、まず喪主、ご遺族、ご親族の順に焼香を行います。
- その後、一般の参列者が順に焼香をします。焼香は、故人様の冥福を祈り、敬意を表す行為です。作法(回数など)は宗派によって異なりますが、心を込めて行うことが最も大切です。自信がない場合は前の人の所作を参考にしましょう。
- 僧侶退場
- 読経や焼香が終わると、僧侶が退場します。合掌して静かにお見送りします。
- お花入れの儀・最後のお別れ(告別式)
- 棺の蓋が開けられ、ご遺族や参列者が祭壇に供えられた花などを棺の中に納め、故人様と最後のお別れをします。
- 喪主挨拶
- 出棺に先立ち、喪主または親族代表が参列者に対して、故人様が生前お世話になったことへの感謝や、参列へのお礼の言葉を述べます。
- 閉式の辞
- 司会者が閉式を告げます。
- 出棺
- 故人様を乗せた霊柩車が火葬場へ向けて出発します。近親者や特に親しい方々で棺を運び出し、霊柩車までお見送りします。
- 一般の参列者は、合掌して静かに霊柩車を見送ります。特別な場合を除き、火葬場への同行はご遺族・ご親族が中心となります。
この後、ご遺族・ご親族は火葬場へ移動し、火葬、そして収骨(お骨上げ)が行われます。
告別式に関してよくある質問

Q. 告別式に喪服以外で参列してもよいのでしょうか?
A. 告別式にご参列される際の服装は、原則として喪服(ブラックフォーマル)となります。しかし、お仕事の都合や急なご不幸で、どうしても喪服の準備が間に合わないといったやむを得ないご事情がある場合には、黒や濃紺、ダークグレーといった落ち着いた色合いの平服(スーツやワンピースなど)でも差し支えないとされています。
その際、服装は無地のものを選び、光沢のある素材や華美なデザイン、目立つ柄物は避けるようにしましょう。ネクタイやバッグ、靴などの小物類も、できる限りシンプルで控えめなものを選び、故人様を偲ぶ場にふさわしい装いを心掛けることが大切です。アクセサリーは、結婚指輪以外は外すのが一般的です。
Q. 告別式のみに参列しても失礼ではない?
A. 告別式のみの参列でも、まったく問題ありません。通夜は近親者で故人とゆっくり過ごす場、そして告別式は一般の弔問客が故人との最期のお別れをする場という側面があります。このため、ご近親者以外であれば、通夜ではなく葬儀・告別式に参列するのが一般的です。
もし都合により通夜に参列できなかった場合は、ご遺族に「お通夜に参列できず申し訳ございませんでした」と一言お悔やみの言葉を添えて参列すると、より丁寧な印象を与えられます。
Q. 告別式で香典を渡すタイミングは?
A. お香典は、葬儀・告別式の会場に到着された際、受付にてお渡しするのが一般的なマナーです。受付で芳名帳に記帳する際に、受付の方へ「この度はご愁傷様でございます」などのお悔やみの言葉を述べ、お渡しください。
もし受付が設けられていない場合や、お渡しするタイミングに迷われた場合は、ご遺族様や会場の係の者にお声がけいただき、「お香典をお渡ししたいのですが」とお尋ねになるとスムーズです。
お香典をお渡しする際は、不祝儀袋に入れ、袱紗(ふくさ)に包んで持参するのが正式なマナーとされています。袱紗から取り出し、相手から見て正面になるよう向きを変えてお渡ししましょう。
おわりに

今回は告別式の意義や参列する際のマナーなどについて詳しく解説いたしました。
告別式は、故人様と過ごす最後の時間であり、在りし日のお姿を偲び、心からお別れを告げるための大切な儀式です。
通夜・葬儀との違い、それぞれの儀式が持つ意味を事前にご理解いただくことで、万が一の訃報に接した際にも、慌てず落ち着いて対応するための一助となるでしょう。
また、お香典の金額の目安やご参列時の服装、立ち居振る舞いといったマナーを守ることは、故人様や深い悲しみの中におられるご遺族様に対する、深い弔意と敬意を表すことにつながります。
地域や宗教によって独自の慣習やしきたりが受け継がれていることもありますので、基本的な知識に加え、そうした点にも配慮できるとより安心です。
この記事が、皆様の告別式に関するご不安を少しでも軽減し、いざという時に落ち着いて故人様をお見送りするためのお役に立てれば幸いです。
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