一般的に営まれる葬儀のほかに、「お別れの会」や「偲ぶ会」と呼ばれるものが開かれることがあります。「お別れの会」や「偲ぶ会」は、どちらも宗教色が薄く、形式にとらわれないスタイルが特徴ですが、その一方で主催者となった場合「どのような形式で行えばいいのか」また「費用をどのように考えればいいのか」など、悩む点も多いと言われています。
そこで、本記事では、お別れの会(偲ぶ会)の形式、また費用の相場とともに、主催者と参列者の負担の考え方についても解説していきます。あわせて、具体的な費用項目や費用を抑えるポイントもご紹介していますので、これらの会の開催を検討している方はぜひ参考にしてください。
お別れの会とは?目的や葬儀との違い
お別れの会は、宗教儀式を中心とする葬儀とは異なり、多くの人々が故人様との思い出を語り合いながら、自由な形式でお見送りできるセレモニーと言えます。ここでは、お別れの会の趣旨や目的、また一般的な葬儀との違いを解説していきます。
お別れの会の趣旨
お別れの会は、故人様を偲び、生前のつながりを持つ人々が思い出を語り合える場を設けることがその趣旨であり、ご遺族様のほかご友人や仕事仲間など、幅広い人々が企画するケースが増えていると言われています。
一般的な葬儀よりも宗教色が薄く、企業が主催する「社葬」と比べてもより柔軟で、形式にとらわれない自由なスタイルで行えることも大きな特徴です。
一般葬・家族葬との違い
一般葬は、通夜や葬儀・告別式を中心に執り行う宗教儀式色の強い葬儀スタイルです。家族や近親者のみで行う小規模な家族葬も、こうした宗教的儀式を踏襲するケースが多く、両者はその点で共通しています。
これに対して、お別れの会は宗教者の読経を必要とせず、献花や黙祷を中心としたセレモニー色が多く、カジュアルな雰囲気で営まれるケースも珍しくありません。
宗教儀式を重視するかどうかが、両者の大きな違いといえます。
宗教色が少ない「自由形式」
お別れの会では「音楽を流す」や「スライドで思い出を振り返る」、「穏やかに食事を楽しむ」など、故人様の人柄に合わせて形式や内容を決めることが可能です。なお、費用面からみれば、この自由度が費用の差につながる最大のポイントでもあります。
お別れの会の主な形式(スタイル別)

お別れの会の形式が決まると、必然的に費用の見通しも立てやすくなります。はじめに代表的なスタイルをご紹介していきます。
ホテルやホールでのお別れ会
ホテルやホールはもっとも一般的な会場です。広いスペースや充実した設備を備えていることが多く、大人数のお別れ会にも対応できるでしょう。音響・映像設備や司会進行のサポートも整っており、質の高い会を実現しやすい反面、費用は比較的高めになる傾向があります。
レストランやカフェでのお別れ会
レストランやカフェは、温かみのある雰囲気で、会食中心のお別れ会に適していると言えるでしょう。コース料理やビュッフェがセットになっていることが多く、内容によって費用に大きく差が出ます。
自宅でのお別れ会
自宅でお別れ会をする場合は、アットホームな雰囲気で、かつ費用を抑えられる点が大きな魅力として挙げられます。ただし、広さによって人数が限られるため、ごく親しい方々で行う少人数のお別れ会に向いていると言えるでしょう。
オンラインお別れ会
オンラインのお別れ会は、ビデオ通話ツールなどを活用して画面越しに故人様を偲ぶスタイルです。遠方の方でも参加しやすく、費用も最も抑えられると言えるでしょう。映像や写真を共有しながら進行でき、コロナ禍以降に増えているとも言われています。
お別れの会の進行と基本の流れ

お別れの会の流れは、構成や形式によって大きく異なります。ここでは一般的な流れをご紹介します。
受付・献花
参列者は受付で芳名帳に記入し、開会の辞のあと献花台へと進みます。宗教色が薄いため、焼香ではなく献花と黙祷のみとすることも少なくありません。
スピーチや映像上映
故人様の人柄や思い出を共有する時間です。家族・友人・職場関係者などがスピーチを行い、スライドや動画を上映することもあります。スピーチの人選や順番は、事前に主催者側で調整しておくとスムーズです。
会食
会食がある場合は、追悼の言葉の後に着席または立食形式で食事をしながら歓談の時間を過ごします。故人様の思い出を語り合う場として、会の中心になることも多いパートです。
閉会の挨拶・会計処理
主催者から挨拶があり、閉会となります。会費制の場合は受付時に集金するケースが多く、香典制の場合は後日香典返しを送るのが一般的です。
お別れの会にかかる費用の内訳一覧

お別れの会の費用は、項目が多いことが特徴です。以下は代表的な内訳です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会場使用料 | ホテル・式場・レストランの利用料金 会場グレードや広さにより数万円〜数十万円と幅がある |
| 飲食費 | 立食ビュッフェ、軽食、コース料理など、参加人数とメニュー内容によって最も費用差が出る |
| 装花・祭壇・献花 | 祭壇を設ける場合は装花費が必要。献花は1本あたり300〜600円程度のことが多い |
| 映像・写真パネル・スライド | スライド制作、遺影、写真パネルなどの演出を行う場合は必要 |
| 返礼品 | 香典制では、返礼品が用意される また、会費制であれば、返礼品を用意しなくても問題はありませんが、用意されるケースも見られる |
| 運営スタッフ(司会・受付・アテンド) | 当日の進行を任せる場合に発生する |
| オンライン配信設備 | オンラインで行う場合に必要な機材費やスタッフ費 |
| 案内状 | お別れの会の日程などを記した案内状の作成、送付にかかる |
形式別に見るお別れの会の費用相場
お別れの会の費用は、会場や内容、規模によって大きく異なります。ここでは形式ごとにおおまかな費用感を一例としてご紹介します。
飲食なしのシンプル開催
20万〜40万円程度(会場費・装花費・献花に要する費用が中心)
立食パーティ形式
60万〜100万円程度(飲食費の比重が大きい)
コース料理形式
80万〜150万円以上(着席形式で高品質な料理の場合)
人数別の目安
・小規模(〜20名):10万〜40万円
・中規模(50名):40万〜100万円
・大規模(100名〜):100万円〜
お別れの会の費用は「誰が」「いくら」負担する?

お別れの会の費用負担には、主に3つのパターンがあります。
会費制の場合
参列者から5,000〜15,000円程度の会費を集めて運営します。
会費額の例:
・5,000円 → 軽食中心のカジュアルな会
・10,000〜15,000円 → ホテル開催やコース料理付き
香典制の場合
香典を受け取り、主催者は後日香典返しをお送りします。会費制と比べると主催者の負担が大きくなる傾向があります。
主催者が全額負担する場合
ご遺族様や企業主催の場合は、主催者の全額負担となります。特に、演出にこだわる場合は、100万円を超えるケースも見られます。
費用を抑えつつ満足度を高めるポイント
お別れの会は、工夫次第で費用を抑えつつ、心に残る温かな時間としていくことが可能です。ここでは、会場選びや演出の工夫など、費用を抑えながらも参列者の満足度を高めるための具体的なポイントをご紹介します。
- 会場と飲食の見直し
お別れの会にかかる費用は、会場費と飲食費がその半分以上を占めると言われています。飲食なしのスタイルとすれば大幅な費用の節約につながります。 - 献花の本数調整
献花の数を必要最小限にすると費用が減らせます。 - 返礼品を最小化
会費制の場合は、返礼品なしでも問題はありません。 - オンライン併用による人数調整
現地参加を減らし、オンライン参加を増やすと費用負担が軽くなります。 - 見積り比較
同じ内容でも業者によって費用が大きく違うことが考えられます。2〜3社から見積りを取り、比較してみることがおすすめです。
お別れの会についてよくある質問

お別れの会は初めてという人の中には、費用や服装、会費制と香典制の違いなど、分からない点も多く、不安に感じるという人も少なくありません。ここでは、お別れの会について、特によく寄せられる質問をまとめ、分かりやすく回答していきます。
Q1. お別れの会の費用はどのくらい準備しておけば安心ですか?
お別れの会は、形式や招待する人数によって大きく異なりますが、一般的には30万〜100万円前後の費用で開催されることが多いようです。飲食なしのシンプルな会であれば20万〜40万円程度、ホテルでの立食やコース料理を伴う場合は60万〜150万円程度を目安にすると良いでしょう。
いずれにしても、最初に「会場」「飲食」「装花」の3つをどのレベルにするかを決めることが大切です。
Q2. 会費制と香典制、どちらがおすすめですか?
費用の透明性を重視するなら会費制、故人様との関係性を大切にしたい場合は香典制がおすすめです。会費制とする場合は「1人〇〇円」と明確になるため、参加者にとっても分かりやすく、主催者側においても返礼品を省略しても問題ありません。
一方、香典制は一般葬などと同様で、参列者が自由に金額を選べる反面、主催者の負担が大きくなる場合があります。
Q3. 参列する場合の服装は、喪服で行くべきですか?
お別れの会の雰囲気にもよりますが、一般的には「黒を基調とした平服(喪服でなくても良い服装)」が多いようです。たとえば、ホテルでの開催であれば、フォーマル度が高いということもあり、ダークスーツや黒のワンピースが無難と言えるでしょう。
なお、主催者側が「平服でお越しください」と案内している場合は、ビジネスカジュアル程度でも問題はありませんが、「明るすぎない落ち着いた服装」を基本に装いを選ぶようにしましょう。
おわりに

お別れの会は、宗教色が薄く、形式にとらわれないスタイルが特徴であり、心温まる会としたいものです。とはいえ、「どんな会にしたいか」「何を優先するか」などで内容は大きく変わります。また、会費制・香典制・主催者側の全額負担とするかなどで、費用についても大きく異なってきます。こうしたことを、念頭においたうえで準備を進めると良いでしょう。
なお、費用や形式で迷われたときは、主催者側やご家族の中で相談し、最適な方法を選ぶことをおすすめします。
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