お葬式への参列は、故人様とのお別れの場であると同時に、ご遺族様への弔意を示す大切な機会です。突然の訃報に接し、悲しみの中で準備を進める際、服装選びと同様に重要なのが持ち物の準備です。しかし、葬儀に参列する機会は多くないため、服装だけでなく持ち物についても「何が必要?」「マナーはある?」と戸惑われる方も少なくありません。
本記事では、葬儀参列時に必要な基本的な持ち物から、あると便利なアイテム、さらに持ち物に関する細やかなマナーまで、分かりやすく詳しくご紹介いたします。
いざという時に慌てることなく、心を込めてお別れの時間を過ごすためにも、ぜひご参考ください。
お葬式に参列する際に基本となる持ち物

お葬式に参列する際は、服装はもちろんのこと、持ち物にもマナーが求められます。まずは、弔意を示すために必ず持参したい基本のアイテムを確認しておきましょう。
お香典と袱紗(ふくさ)
故人様への哀悼の気持ちとご遺族様への弔慰を表す「お香典」は、葬儀参列時の最も重要な持ち物です。
表書きについて
仏式の場合は「御霊前(浄土真宗ではご仏前)」が一般的ですが、神式では「御玉串料」、キリスト教式では「御花料」など、宗教・宗派によって異なります。事前に確認しておくことで、より丁寧な対応ができます。
包む金額の目安
故人様との関係性によって異なりますが、一般的には以下が目安とされています。
- 知人・友人:3,000円〜5,000円
- 親族:5,000円〜30,000円
- 特に近しい間柄:10,000円〜
袱紗の使い方
香典は必ず袱紗に包んで持参するのが正式なマナーです。受付では袱紗から丁寧に取り出し、表書きを相手に向けてお渡しします。
袱紗の色は、紺色や紫色・灰色など落ち着いた色合いを選びましょう。
数珠(じゅず)
仏式の葬儀において、数珠は仏様への敬意を表すとともに、厄除けの意味も込められた大切な法具で、合掌や礼拝の際に両手にかけて使用します。
数珠は非常に個人的な宗教用具であると同時に、自身の身を守るものともなるため、他人との貸し借りは避けるべきとされています。一本持っておくことで、いつでも適切に対応できます。
宗派によって数珠の形状や使い方に違いがありますので、分からない場合は、略式数珠(片手数珠)を選んでも差し支えありません。
ハンカチ・ティッシュ
涙を拭う場面に備え、清潔なハンカチとティッシュは必ず持参しましょう。ハンカチは、黒や白、紺、グレーなどの落ち着いた色を選び、派手な柄やレース、刺繍が施されたものは避けるのがマナーです。
ふとした所作にも気を配る必要があるため、人目に触れても失礼のないシンプルなものを選ぶと安心です。使い捨てのポケットティッシュも、控えめなパッケージのものを用意しましょう。
現金の準備

お香典以外にも、交通費や駐車場代、お清めの席での飲食代など、現金が必要な場面があります。小銭も含めて適度な金額を用意しておきます。
もしも公共交通機関を利用する場合は、ICカードの残高を事前に確認し、必要に応じてチャージして置くと安心です。
フォーマルバッグ

持ち物をまとめるバッグ選びにも、葬儀にふさわしい配慮が必要です。黒色で光沢のない布製またはレザー製のバッグが最適です。エナメルなど光沢のある素材や、金具が目立つデザインは避けましょう。
大きすぎるバッグや、カジュアルな印象を与えるものは避け、小ぶりで上品なフォルムのものを選びます。
ブランドロゴが大きく表示されているものは、葬儀の場にはふさわしくありませんので、できる限りシンプルで控えめなデザインを心がけましょう。
天候・季節・状況に応じて用意しておきたい持ち物

基本的な持ち物に加えて、その日の天候や季節、葬儀会場の状況に応じて準備しておくと安心なアイテムがあります。事前に天気予報や会場の特徴を確認し、必要に応じて準備しておきましょう。
雨具(黒・無地の傘)
急な雨に備えて、黒や紺色などの落ち着いた色合いの無地の傘を用意します。派手な色彩やカラフルな柄の傘は葬儀の場にはふさわしくありません。
折りたたみ傘であればバッグに収まり、持ち運びが容易で急な天候変化にも柔軟に対応できます。式場内での保管も場所を取らず、他の参列者の迷惑になりません。
防寒具や扇子などの季節用品
冬季は、会場までの移動や屋外での待機に備えてコートやマフラー、手袋などの防寒具があると重宝します。ただし、式中はコートを脱ぐのが基本的なマナーとなるため、コートの下に着用する服装も葬儀にふさわしいものを選ぶ必要があります。
一方夏季は、屋外での待機や会場内の温度調整に備えて、汗拭き用のタオルや扇子があると快適に過ごせます。タオルは白や黒などの控えめな色を、扇子も黒や白の無地のものを選びましょう。体調管理のためにも、適切な準備を心がけます。
身だしなみ用の予備品
女性向け:予備のストッキング
ストッキングの伝線は予期せぬトラブルの代表例です。バッグに予備のストッキング(黒または肌色)を1足入れておくことで、急な事態にも冷静に対応できます。
男性向け:予備の黒ネクタイ
黒ネクタイは男性の葬儀参列に必須のアイテムです。万が一忘れた場合や汚してしまった場合に備えて、予備を持参しておくと安心です。
サブバッグ(黒・シンプルなもの)
葬儀会場によっては靴を脱ぐ必要があったり、ロッカーが設置されていない場合があります。荷物を整理して持ち運ぶためのサブバッグがあると、スマートに対応できます。
メインのバッグと同様、黒色でシンプルなデザインのものが最適ですが、布製の手提げ袋やエコバッグでも、落ち着いた色合いであれば問題ありません。
あると便利な持ち物

必須ではないものの、念のため持参しておくと便利なアイテムもあります。長時間の移動や待機、あるいは急な手伝いを頼まれた際にも役立つものをご紹介します。
軽食や飲み物(長時間の参列に備えて)
長距離移動や待ち時間が長くなることが予想される場合、簡単な軽食や水分補給用の飲み物があると体調管理に役立ちます。
香りの強いものや音の出るもの(袋菓子など)は避け、控えめに摂取できるものを選びます。キャンディーや小さなクッキーなど、休憩時間に静かに口にできる程度で十分です。
メイク直し道具やメガネ
長時間の移動や待機により、メイクが崩れることがあります。最小限のメイク直し用品(ファンデーション、口紅など)を持参し、控えめに身だしなみを整えられるようにしておきます。
また葬儀会場は照明が控えめで、受付での記帳や式次第の確認が困難な場合があります。普段メガネを使用しない方も、必要に応じて老眼鏡などを持参すると安心です。
着替え・エプロン
通夜や葬儀後に、ご遺族の方からお手伝いを頼まれる可能性もあります。特に親族として参列する場合や、台所での準備・後片付けを任されるような場合は、喪服を汚すことがないよう、着替えやエプロンを用意しておくと重宝します。
風呂敷やバスタオル
風呂敷は荷物をまとめるだけでなく、必要に応じて敷物としても使用できる便利なアイテムです。落ち着いた色合いの無地のものを選べば、葬儀の場でも違和感なく使用できます。
また黒やグレーなどシンプルな色合いのバスタオルは、敷物や膝掛け、羽織物として多用途に活用でき、防寒対策としても有効です。コンパクトに畳めるものを選ぶと持ち運びに便利です。
葬儀の持ち物に関してよくある質問

葬儀参列時の持ち物について、多くの方からお寄せいただく代表的なご質問にお答えいたします。参列前の不安解消にお役立てください。
Q1. 数珠は必ず持っていかなければいけませんか?
A.数珠は仏教における重要な法具であり、祈りや供養の際に合掌した手にかけて使用します。故人様への敬意を表し、心を込めた祈りを捧げるための神聖な道具です。
数珠を持たずに参列すること自体がマナー違反になるわけではありませんが、仏式の葬儀においては持参することが望ましいとされています。故人様やご遺族様への配慮として、可能な限り準備することをおすすめします。
一般的に、男性用は玉が大きめで色も濃い目のもの、女性用は玉が小さめで色も淡いものを選ぶとされています。迷った場合は、宗派を問わない略式数珠(片手数珠)を選ぶと安心です。
Q2. バッグや持ち物にブランドロゴが入っていても大丈夫?
A.葬儀は故人様を偲び、ご遺族様に寄り添う厳粛な場ですので、参列者は控えめな装いで臨むことが基本的なマナーとなります。
華美な印象を与える可能性のあるブランドロゴが目立つアイテムは、場の雰囲気を損ねる恐れがあります。特に大きなロゴマークが施されたバッグや、金具が派手なアクセサリーなどは避けたほうが賢明です。
葬儀の場には、黒や紺など落ち着いた色合いで、装飾の少ないシンプルなデザインのバッグを選ぶようにしましょう。もしお手持ちのバッグにロゴが入っていて気になる場合は、サブバッグを併用するなどしてロゴが見えないように工夫するのも1つの方法です。
Q3. 香典袋がない!どこで購入できますか?
A.香典袋は、現在では多くのコンビニエンスストアでも取り扱っています。急な参列が決まった際には非常に便利ですが、表書きや水引の種類に注意が必要です。
仏式の葬儀では、一般的に表書きは「御霊前(浄土真宗ではご仏前)」とし、水引は黒白または双銀(銀銀)のものを選ぶのがマナーです。
時間に余裕がある場合は、文具店やスーパーの冠婚葬祭コーナーで購入すると、種類が豊富で適切なものを選びやすくなります。
今後のために、あらかじめ数枚を備えておくのもおすすめです。
おわりに

この記事では、葬儀参列に必要な持ち物や、状況に応じた便利なアイテム、そして大切なマナーについて詳しく解説しました。
突然の訃報に際しても、事前に必要なものを把握し準備しておくことで、いざという時に慌てず、故人様とのお別れに心を込めて向き合えます。
今回ご紹介した情報が、皆様の不安を少しでも和らげ、故人様への弔意を滞りなくお伝えするための一助となれば幸いです。
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