葬儀は、故人様の死を悼み、ご供養するための宗教的な葬送儀式であると同時に、ご遺族様や参列いただいた方々が最後のお別れを告げる場でもあります。
故人様とご縁のあったすべての方にとって、後悔のない葬儀にするために、最適な葬儀プランを選びたいと考えるのは自然なことでしょう。
しかし近年では、葬儀に対する考え方も多様化していることから、さまざまな葬儀プランが提供されているため、葬儀プラン選びに悩まれる方も多いようです。
そこで今回は、葬儀プランを選ぶ際のポイントについて、詳しく解説いたします。
ポイント①葬儀の形式と規模を決める
葬儀を執り行ううえで、重視する条件は一人ひとり異なるため、最適な葬儀プランも一様ではありません。
自分に合った葬儀プランを選ぶために、まずは希望する葬儀の形式や規模について検討しましょう。
近年では、葬儀に対する消費者ニーズの多様化に対応すべく、各葬儀社で独自の葬儀プランを打ち出しているものの、基本的には「一般葬」「家族葬」「一日葬」「直葬(火葬式)」の4種類に大別されます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
葬儀の形式 | 参列者数の目安 | 特徴 |
---|---|---|
一般葬 | 50名以上 | ・生前に故人様とご縁のあった方々を広くお招きして見送る、伝統的な葬儀 ・参列者数の把握が難しいため、広めの式場を確保し、会葬返礼品なども多めに用意しておく必要がある ・多くの方にとって馴染みのある葬儀の形式になるため、誰にとっても安心感がある |
家族葬 | 1~30名ほど | ・家族や親族・親しい友人を中心に、少人数で見送る小規模な葬儀 ・気心の知れた方々だけが参列するため、家族の意向を葬儀に反映しやすい ・家族葬向けの式場は収容可能人数が限られるため、参列者数を絞り込む必要がある |
一日葬 | 1~30名ほど | ・通夜式を割愛し、葬儀・告別式を一日でおこなう葬儀 ・一般弔問客の対応に追われることなく、故人様と共にする最後の夜を、家族だけで落ち着いて過ごせる ・葬儀日程が1日のみとなるため、参列者が都合を合わせづらいというデメリットもある |
直葬(火葬式) | 1~10名ほど | ・通夜式や葬儀・告別式といった宗教的な葬送儀式をおこなわず、火葬のみで見送るシンプルな弔い方 ・必要最小限の簡素な内容となるため、費用を抑えやすく、精神的・肉体的な負担も少ない ・一般の方にとっては馴染みのない弔い方となるため、周囲の理解を得にくいというデメリットもある ・事前に菩提寺の了承を得ておかないと、納骨を断られるなどのトラブルに発展する可能性もある |
また上記4種類の葬儀形式には、それぞれ向き・不向きがありますので、その点を念頭に置いたうえで葬儀プランを選ぶ必要があります。
各葬儀プランの特徴を踏まえたうえで、故人様・ご遺族様が置かれた状況に適したプランを以下にまとめました。
葬儀の形式 | 向いている方 |
---|---|
直葬(火葬式) | ・故人様・関係者ともにご高齢で、参列いただける方が非常に少ない 経済的な理由などで、できるだけ葬儀費用を抑えたい ・伝統的な葬送のための宗教儀式に意義を感じない ・菩提寺や付き合いのある寺院が無く、戒名も不要と考えている |
一日葬 | ・故人様と共にする最後の時間を、誰にも邪魔されず家族だけで心静かに過ごしたい ・ご遺族様や参列者の中にご年配の方が多く、体力的な負担を軽減したい ・ご遺族様や参列予定者が多忙で、スケジュールの合う日が1日しかない |
家族葬 | ・葬儀費用を抑えつつ、通夜式や葬儀・告別式はしっかりと執り行いたい ・ご遺族様やご親族様・親しい友人など、気心の知れた方だけで故人様を見送りたい ・周囲の目を気にせず、故人様・ご遺族様の希望に沿った葬儀を営みたい |
一般葬 | ・伝統的な葬送儀式や地域の慣習を大切にして、格式高い葬儀を執り行いたい ・故人様が交友範囲の広い方で、葬儀に多くの方の参列が見込まれる ・生前にご縁のあった方々を広くお招きして、故人様を大勢で手厚く見送りたい |
故人様・ご遺族様の立場や社会的地位・周辺環境によって、最適となる葬儀形式や規模は異なります。
ほとんどの方にとって身近な方のご葬儀は不慣れなものですので、慌ててしまうのも無理はありませんが、葬儀社や葬儀プラン選びで判断を誤ると、後になって思わぬトラブルに発展するケースもありますので、あらかじめ菩提寺や親しい身内などに相談しておくと安心です。
ポイント②予算に合った葬儀プランを選ぶ
葬儀を営むために必要となる費用の総額は、主に「葬儀一式費用」「飲食接待費」「宗教費」の3つの要素で構成されています。
葬儀プランの金額のみで、葬儀費用のすべてが賄われるわけでない点に留意しておく必要があります。
葬儀費用の種類 | 含まれるもの |
---|---|
葬儀一式費用 | 搬送費用・安置施設利用料・ご遺体保全費用・式場使用料・運営スタッフ人件費・祭壇・遺影・白木位牌・棺・骨壷・仏衣・線香やロウソクなどの仏具・焼香台・受付用具一式など |
飲食接待費 | 「通夜振る舞い」や精進落としなどの会食費用・会葬返礼品・香典返しなど |
宗教費 | 僧侶へのお布施・お車代・お膳料など |
費」は別途必要になります。また葬儀プランによっては、「葬儀一式費用」に含まれる内容の一部が、追加オプション扱いになっているケースもありますので、事前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。
葬儀プランの価格設定は葬儀社ごとに異なり、また地域によっても差が出やすい部分になりますが、葬祭各社が実施したアンケートの結果を参考にすると、一般的な相場としては以下のようなイメージとなります。
葬儀プラン | 費用相場 |
---|---|
直葬(火葬式) | 10万円~30万円ほど |
一日葬 | 30万円~80万円ほど |
家族葬 | 60万円~120万円ほど |
一般葬 | 100万円~(参列者数・式場規模によって大きく異なる) |
葬儀プランの金額は、葬儀費用総額に大きく影響しますので、予算を立てるうえで把握しておくべき費用といえるでしょう。
良心的な葬儀社であれば、あらかじめ予算を伝えておくことで、最適な葬儀プランを提案してくれる可能性もあります。
ポイント③複数の葬儀社に見積もりを取る
葬儀費用は高額になるケースが多いため、消費者庁でも、複数社から相見積もりを取ることを推奨しています。
葬儀社ごとに見積書の書式は異なるものの、良心的な葬儀社では詳細な見積もりを提示しているケースが多いため、見積書は葬儀選びの目安にもなります。
とはいえ、ご危篤・ご逝去の時を迎えてから葬儀社を探す場合、複数社から相見積もりを取るだけの時間が確保できない可能性が高いでしょう。
近年では、ほとんどの葬儀社で事前相談会や式場見学会などを開催しており、概算の見積作成にも対応していますので、上手に活用していただくことをおすすめします。
見積もりを取る際には、以下の点に注意しましょう。
- 同じ条件で比較する:葬儀の形式、規模、使用する物品などを同じ条件で見積もりを取るようにしましょう。
- 内訳を明確にする:見積もり書に何が含まれているのか、各項目の料金が明確になっていることを確認しましょう。
- 不明点は質問する:葬儀に関する疑問点は遠慮なく質問し、納得いくまで説明を受けましょう。
葬儀プランを選ぶ際の注意点
葬儀プランを選ぶ際には、以下の点に注意して、後悔のない選択をしましょう。
- 故人様の希望を尊重する:故人が生前に希望していた葬儀について、できる限り尊重しましょう。
- 家族で話し合う:葬儀の内容について、家族でしっかりと話し合いましょう。
- 無理のない範囲で:予算や時間的な制約などを考慮し、無理のない範囲で葬儀プランを選びましょう。
まとめ
本記事では、後悔のない葬儀プランを選ぶためのポイントについて、具体的な例を挙げながら詳しく解説いたしました。
多種多様な葬儀プランがあるものの、基本的には「直葬(火葬式)」「一日葬」「家族葬」「一般葬」の4種類に大別され、それぞれにメリット・デメリットがあることがお分かりいただけたかと存じます。
この記事で紹介したポイントを参考に、ご自身に合った葬儀社を見つけ、納得のいく葬儀プランを選んでいただければ幸いです。